

意外と思われるかもしれませんが、中途採用に何社申し込むかは転職活動において決定的に重要です。
転職活動の典型的な失敗パターン
転職活動は計画的に行わなければならない。興味を持った企業になんとなく応募してしまうと、後で後悔することになる可能性がある。下記は、それを示すための架空のストーリーである。
田中順一は従業員50人ほどのメーカーで法人営業として働いている。朝早くから夜遅くまで働くが、中途半端な成果主義で、大きな案件を受注しても給料があまり上がらないことに不満を抱えていた。自分の能力に自信があり、会社の居心地は悪くないものの、良くも悪くもぬるま湯な体質に限界を感じていた。「自分はもっと大きな世界で活躍できるのではないか? もっと稼げるのではないか?」と大企業への転職を考え始めていた。
田中はとりあえず有名な転職サイトに登録し、興味を持てそうな大企業をリストアップした。その中の一つであるA社を、練習がてら応募することにした。いきなり大本命のB社に応募するのはリスクが高いと判断し、まずはA社だけを受けて転職面接の流れを勉強しようと考えた。
応募してみると、なぜかトントン拍子で面接を通過し、なんと1社目にして内定をもらえることになった。内定受諾を待ってもらえる期間は2週間だった。
A社は知名度もあり、待遇も今より格段に良くなるが、本命ではなかったので田中は悩んだ。「非常に良い条件の内定をもらったが、この後の本命企業でも内定をもらえるかもしれない」と胸を踊らせた田中は、内定を断ることにした。
そして、いよいよ本命のB社に申し込む。田中は全力を尽くして準備をしたが、残念なことに、最終面接で落とされてしまった。「まだ何社も行きたい企業が残っている。それほど転職は甘くない」と気を引き締めることにした。
ところが、満を持して臨んだC社、D社と連続で面接で落ちてしまった。E社にいたっては書類選考を通過できなかった。
結局、田中がリストアップした企業の中で、内定をもらえたのはA社だけだった。そして田中は大いに後悔することになる。「こうなるとわかっていたなら、A社の内定を断るんじゃなかった」と。
さて、田中はなぜこのような事態に陥ってしまったのか? 田中はA社の内定を受諾すべきだったのだろうか?
複数社同時応募が鉄則
田中が内定を受諾するか受諾しないかが失敗の本質ではない。より大きな視点で考えなければならなかったのだ。
転職活動の鉄則は、複数社同時応募である。典型的な失敗パターンは、興味のある企業を1社ずつ申し込んでしまうことだ。
1社ずつ申し込むと、内定を断ったときに後悔する可能性がある。別の本命企業に挑戦してダメだった際に、「断るんじゃなかった」となりかねない。
やるべきことは、複数社の同時申し込みと、「内定が出揃う日をある程度調整する」ことだ。
そうすれば内定を得た企業の中でも最良の条件だった企業に転職することができる
さらに、「断らなければよかった」という後悔にも陥らない。

応募数の平均
それでは中途採用で何社応募すればいいかというと調査によって平均応募者数は10~20社と幅がある。10社から20社ぐらい申し込んでいれば、大きくポイントを外していないと判断できる。
また、書類選考の通過率は、約5割が相場だ。つまり、10社応募すれば半数の5社の面接に臨むことになり、20社申し込むと10社程度の面接に挑むことになると概算できる。働きながら10社の面接を受けるのはなかなかハードではある。あなたの肉体と精神が耐えられる企業数で応募しよう。

第一志望軍、第二志望群と分けるパターンも
いっきに全社申し込むのではなく、第一志望群と第二志望群のような形で応募するのも手だ。6社程度の第一志望群に応募し、書類選考通過率が5割として3社ほどの面接に臨む。第一志望群の企業がすべてダメなら、第二志望群の企業に申し込む。
こうすることで、取りこぼしなく条件の良い企業から内定をもらうことが可能だ。
また、そもそも転職活動には新卒採用とは異なり、時間の成約がない。第一志望群にすべて落ちた場合、しばらく時間を空けてみるのも手だ。再度良い条件の企業の企業が出揃ったタイミングで新しい第一志望群に申し込むのだ。
スケジュール調整は転職エージェントに頼るべき
内定が出揃うようスケジュール調整を行うには転職エージェントの力を頼るべきだ。その理由は、以下の2つである。
①手間のかかるスケジュール調整を代行してくれる
②選考プロセスをある程度把握しているので、内定が出揃う日を合わせてくれる
