【徹底解説】転職活動は在職中、退職後のどちらにすべき?離職しても大丈夫?

くおん先生
こんにちは。元採用担当で大学教員のくおんです。

それほど忙しくない職場なら在職中に転職活動を行うことが可能ですが、忙しい仕事の場合には「退職してから転職活動ををしよう」と考える人も多いはずです。その気持ちは私にもよくわかります。

転職活動を在職中と退職後のどちらに行うべきかというと、在職中に行うことを強く推奨します。「退職後に活動を始めよう」と考えている人の暗黙の前提は、「すぐに決まると思っている」ことです。あなたの想像より長引くとどうなるでしょうか? もしすぐに決まらなかった場合のお金はどうしますか? 「すぐに次の仕事が決まらない未来」を想像してみてください。

退職後に転職活動を行ことには、デメリットが多く潜んでいる。
①転職活動が長引くリスク
②面接で過度に緊張してしまう
③ブランク(空白期間)があることによるマイナス評価
④応募者の交渉力が下がり、企業の交渉力が上がる
⑤条件の良くない企業でも、焦って内定を受諾してしまう

ここからは上記のそれぞれについてみていく。

転職活動が長引くリスク

退職後、転職活動がスムーズにいけばよいが、そうならないこともある。退職後に家にいると、「これまで忙しかったから、少しくらいゆっくりしてもいいか」と転職活動を先延ばしにする誘惑にかられる。頑張った自分へのごほうびのような感覚だ。

そしていざ転職活動を始めてみたら、意外に準備に時間と手間がかかると気づく。応募する会社を探すごとや企業研究に時間が必要であり、自己PRや職務経歴書の内容を考えることにも時間をとられる。面接のスケジュール調整も手間がかかる。

そして、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と徐々に時間がたち、お金に余裕がなくなり、家族からプレッシャーをかけられる人もいるかもしれない。住宅ローンや教育費、さまざまな懸案事項が出てくる。

最終的にあなたは後悔するかも知れない。「やめなければよかった」と。

くおん先生
退職後の転職活動が長引く状況をイメージし、許容できるかできないかを必ず考えてみてください。

面接で過度に緊張してしまう

在職中に転職活動を行う場合、面接に対して「別に落ちてもかまわない。ダメ元で受けよう」という心理で臨むことも可能だ。ある意味心に余裕を持った状態で面接を受けられる。

ところが、退職後に受ける面接は、生活がかかった重大イベントになってしまう。あなたの肩には自分や家族の生活がかかっている。そのような状態で挑む面接は、新卒採用時のように緊張してしまうだろう。科学的には、過度な緊張状態ではパフォーマンスの発揮が難しくなるとわかっている。過度な緊張状態では面接で高評価を得られる確率が下がってしまう。

くおん先生
心に余裕がある方が、冷静な判断ができます。緊張するかどうかは個人差も大きいため、自分の性格を今一度考慮しましょう。

ブランク(空白期間)があることによるマイナス評価

ブランクは採用側からダブルのマイナス評価となる。それは、書類選考時と面接時である。ブランクが長い人は書類選考を通過する確率が下がり、面接ではブランクの理由を確認される。ブランクがマイナス評価となる理由は、能力や意欲の低下が懸念されるからだ。

ブランクの理由を答えるとき、「人事を納得させられる理由」を説明できて初めて減点を回避できる。ブランクの理由としては、スキルアップとつなげるのが定番だ。「この機会にどうしても取得したい資格があった」「今後、中国との取引はどうしても欠かせないため、中国に行って各地を回っていた」など、能力の向上につながるような理由をしっかり話せれば、問題とならない可能性もある。

逆に、スキルアップ以外の理由の場合、それがどんなに差し迫ったものであっても、企業側にとっては関係のないことであるためマイナス評価となる可能性がある。

ただ、一般的に数ヶ月以上のブランクとなる人は相当に少ない。厚労省のデータを見ると、転職者の離職期間は以下のようになっている。
・離職期間なし→24.6%
・1ヶ月未満→ 29.4%
つまり、過半数が離職期間1ヶ月未満である。
・1ヶ月以上2ヶ月未満→12.5%
・2ヶ月以上4ヶ月未満→ 10.9%
したがって、約75%の転職者は離職期間が4ヶ月未満なのである。逆に、4ヶ月以上離職する人は約25%しかいない。半年や1年以上離職する人はかなりのレアケースだとわかる。転職者の離職期間が総じて短いのは、「在職中に転職活動を行っている人が多い」ことが推測される。

「ブランクのある人は少数派である」ということをぜひ覚えておいてほしい。

くおん先生
ただし、ブランクが長かった人でも転職に成功している事例は多くありますので、ブランクを悲観的に考えすぎる必要はありません。私の身近な人にも、長いブランクの後に転職がうまくいった人がいます。

応募者の交渉力が下がり、企業の交渉力が上がる

在職しているか、離職中かで、応募者の交渉力に影響を及ぼす。在職中の場合、応募者には「今の会社に留まる」という選択肢がある。企業側は、その応募者を選ぶ立場であると同時に応募者に選ばれる立場でもある。つまり、応募者は給与などの条件面で良い待遇を引き出しやすい。企業側は、応募者の現在の給与よりも低い給与を提示しづらくなるためだ。

逆に離職中の場合、応募者は企業に足元を見られやすくなる。離職中の収入は少なく、企業から良い待遇を引き出せる要因があまりないからだ。

くおん先生
在職中であれば応募者と企業のパワーバランスは対等ですが、離職後は企業側に有利となってしまいます。

条件の良くない企業でも、焦って内定を受諾してしまう

ここまで述べてきたように、離職中の転職活動には焦りが生じる。その焦りが、判断をにぶらせることになる。冷静に考えれば労働条件のよくない企業の内定を、受諾したい欲求にかられてしまう。

もしその内定を受諾するとしたら、前職を退職する必要があったのかとなってしまう。

くおん先生
ただ、内定を受諾し「次こそは忙しくても在職中に転職活動を行う」という気付きになればその経験はプラスになります

意外に短い転職活動の期間

転職活動にかかる時間は、意外にも短いと判明している。厚労省のデータによると、
・転職活動期間なし→25.8%
これヘッドハンティングなどの場合が考えられる。特に高年齢・高スペック層で顕著である。
・1ヶ月未満→19.3%
1ヶ月未満で約45%を占めている。
・1ヶ月以上3ヶ月未満→27.2%
3ヶ月未満で約70%となった。
3ヶ月以上6ヶ月未満→約14.8%
つまり、ほとんどの人は転職活動期間が半年に満たない。

くおん先生
転職活動は長い年月のかかるものではなく、1ヶ月から数ヶ月の短期間で次の職場がみつかるケースが多いのです。

最後にどうしても言いたいこと

最後に、ここまで「在職中に転職活動を行うこと」を強く推奨してきたが、これはあくまで理想論だ。毎日夜遅くクタクタになるまで働き、少しも転職活動を行う余力がないという人も多いだろう。ともすると命の危険を感じる場合もある。その際に守るべき、優先すべきはやはり命である。会社から離れられず、自ら命を絶つという選択を選ぶ人もいる。

在職中の転職活動をから得られるものは、しょせん目先の面接のプラス評価に過ぎない。人生という大きな枠で考えたとき、退職してからの転職活動の方が大きなプラスとなる人は必ずいる。ともすると退職後の転職活動しか選択肢がないという人もいる。その際には、自信を持って退職してから転職活動を始めてほしい。

くおん先生
在職中であれ、退職後であれ、あなたに合ったやり方で転職活動を進めてくださいね。きっとそれが正解です。
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