

中途採用では即戦力としてのスキル・能力が重視されますが、当然ながらマナー面も重要です。この授業では、転職面接特有のマナー対策についてまとめています。新卒採用とは違う点がありますのでぜひ確認してください。
目次
科学的にも面接は第一印象が重要
もしあなたが「自分は能力・スキルがあるから転職の面接は大丈夫」と思っているとしたら、落とし穴にはまってしまう可能性がある。
科学的には、第一印象の重要性がよく知られている。また、その第一印象をくつがえすことも難しいとわかっている。立命館大学の西山教授の研究は、面接における第一印象の評価がその後変化するかという調査を行った。その結果、評価が変わらない場合が約6割、どちらともいえない・変わるがそれぞれ約2割となった。また第一印象が形成されるまでの時間は平均約6分であった。第一印象が決まるまでの時間に関しては多くの研究があり、4分であったり数秒であったりとまちまちだが、やはり数分以内で決まると考えてよいだろう。
つまり、あなたの評価はたった数分でかなりの部分が決まってしまうということだ。

第一印象を決める要素
先の西山教授によると、面接官が第一印象を決めるポイントは礼儀と服装である。そう考えると、やはりマナー面も転職面接において非常に重要だとわかる。言葉遣いやお辞儀の仕方、入退場のやり方、スーツの着こなし方など、あなたは準備できているだろうか?
一般的な面接の入退場の手順に関しては後ほど述べるとして、まずは転職面接特有のマナーについて見ていくことにしよう。

名刺交換は必要?

社会人になると、初対面の人と名刺交換をすることが一般的だ。そのクセで、つい転職面接の場においても名刺交換をしようとする人がいる。しかし、転職面接の場では面接交換は不要だ。仮に面接官から名刺を渡されたとしても、こちらから渡す必要はない。面接官から「あなたの名刺をください」と言われてはじめて名刺を渡せばいい。
そもそも、なぜ面接官に名刺を渡さなくてよいのだろうか? たとえば、もしあなたに子どもがいたとして、子どもの運動会を見に行ったとしよう。そして、あなたの子どもと仲がよい子の父親に初めて会ったとする。さて、あなたはその父親に名刺を渡すだろうか? 多くの人が「渡さない」はずだ。
なぜ名刺を渡さないのか? それは「プライベート」だからだ。プライベートの場では、むしろ自分の勤務先を隠す人が多いのではないだろうか。
面接の場も同様である。あなたは会社の人間として面接に臨んでいるのではなく、あなたのプライベートの時間に面接を受けに来ているのだ。

服装は受ける業界ごとに検討
「転職の面接はスーツで受ける」と思っていないだろうか? もちろん、男性・女性ともにスーツがベストの場合が多い。しかし、人材系企業やIT企業などを中心に、「服装自由」「あなたらしい服装で」という場合がある。新卒採用の場合はやはりスーツで臨むのが一般的だし、それで大きな問題は生じない。
しかし、転職面接において「服装自由」「あなたらしい服装で」という場合、スーツではなくオフィスカジュアルで臨んだほうが良いケースが多い。なぜなら、それら企業などでは普段スーツを着て仕事をしておらず、もしあなたがスーツを着て面接に来ても会社で働く姿をイメージをしづらいからだ。
業界ごとに、働いている人の姿をイメージし、そのイメージに合わせる形で面接の服装を決めよう。たとえば金融業界なら、きっちりとしたスーツとダークカラーのネクタイで臨み、あまり明るい色のスーツとネクタイは避けたほうがよいかもしれない。

髪色について
髪色に関しては地毛の色そのままで臨むのがベストだ。男性の場合は特に、地毛の色の方が面接官の評価を得やすい傾向にある。女性に関しては染色をしていても問題ない場合も多いが、それでも明るい色は避けたほうが無難だ。
新卒採用時には「髪色は黒」以外の選択肢はないケースがほとんどだが、男性・女性ともに染色が認められる場合もある。さきほどの服装と同様に、業界ごと・企業ごとに髪色を検討してほしい。

転職面接にお礼メール(お礼状)は必要か?

お礼状(お礼メール)で得られるメリットは次の2つになる。
①志望度の高さを伝えられる
②最後のひと押しになる可能性
最終的に、あなたともうひとりの候補者の2人が残ったとき、決め手となりうることは否定しない。実際、「お礼状(お礼メール)が最後の決め手となった」と答えている面接官もいる。しかし、以下のようなデメリットもある。
①そもそも、大多数の採用担当者はお礼状(お礼メール)を評価しない
②手間がかかる
③敬語・マナー面で墓穴を掘る
送ったものが誤字脱字だらけでは当然評価が下がることもある。したがって、やはりメリットとデメリットが打ち消し合うような状況だ。

入退室手順のおさらい

【到着まで】面接マナー①
・面接10分前には到着する
・面接会場に入る前に、コートを脱いで折りたたむ
※マナーを意識したくない場合、コートを持参しない+折り畳み傘がおすすめです
・携帯電話の音が鳴らないように設定しておく
・受付の際は、「本日◯時に面接の約束をさせていただいております◯◯と申します。人事部の◯◯様にお取次ぎをお願いいたします」
【控室で待機しているとき】面接マナー②
・見られていると思い、携帯電話をいじらず静かに待つ
・面接の部屋に面接官よりも先に通された場合は、下座に座る(ドアに近いイス)。面接官が来たら立って挨拶する
【入室時】面接マナー③
・ドアを3回ノック
・「どうぞ」と言われたら、「失礼いたします」と言ってドアを開ける
・中に入ったら、後ろ手ではなくドアの方を向いてゆっくりとドアを閉める
・面接官の方を向き、「失礼いたします」と述べてからお辞儀をする
・イスの横に移動し、「○○と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」と言い、お辞儀をする
※言葉の後にお辞儀がポイント!
・「どうぞお座りください」と促されたら、「失礼いたします」と言い、お辞儀をしてから座る
・バッグはイスの横に立てるか、イスの脚に立てかける
※面接でのお辞儀の角度は30度が一般的
【着席時】面接マナー④
・イスに深く腰掛けず、背もたれにもたれない
・背筋を伸ばし、軽くあごをひく
・男性は軽く足を開き、手は握った状態でひざの上にのせる
・女性は足を閉じ、両手をももの上に重ねる
【面接時】面接マナー⑤
・笑顔でハキハキ
・相槌をしっかりと打つ
・相手の目を見ながら話す
・過度なボディランゲージは避ける
【退出時】面接マナー⑥
・終了したら「本日はお時間を割いていただきありがとうございました」と言って立つ
・イスの横に立ち「ありがとうございました」と述べてからお辞儀をする
・ドアの方に向かって歩き、ドアの前で面接官の方に向き直り、「失礼いたします」と言ってからお辞儀をする。
・ドアを開け、退出し、静かに閉める。
・建物を出るまでが面接だと思って気を抜かずに退出する。建物を出るまでは携帯電話を確認せず、コートも着ない。

【敬語】面接マナー⑦
・一人称→私
・言う→(自分)申し上げる (相手)おっしゃる
・行く→(自分)参る (相手)いらっしゃる
・見る→(自分)拝見する (相手)ご覧になる
・知る→(自分)存じ上げる (相手)ご存じ
・読む→(自分)拝読する (相手)お読みになる
・もらう・食べる→(自分)いただく
・帰る→(自分)失礼する
・する→(自分)させていただく (相手)される、なさる
・会う→(自分)お目にかかる (相手)お会いになる
・わかりました→かしこまりました、承知しました
・すいません→申し訳ございません
【敬語:クッション言葉】面接マナー⑧
・恐縮でございますが
・恐れ入りますが、
・ご面倒をおかけしますが、
・ご迷惑をおかけしますが、
・申し訳ございませんが、
・差し支えなければ、
・よろしければ、
【敬語:敬称】面接マナー⑨
・話し言葉→御社(オンシャ)
・書き言葉→貴社(キシャ)
