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コツを知れば内定の確率は格段に上がる

転職面接はコツを知れば内定の確率をグッと上げることができます。面接で評価されるかは能力よりも表現方法やプレゼンテーションの仕方で決まります。この記事では、あなたをより魅力的に見せるためのポイントをわかりやすくお伝えします。
「自分が転職面接で評価されるはずがない」と思っていないだろうか。それは多くの場合間違いである。自分を良く見せるための方法を知らないだけである。冷静に考えてみてほしい。面接の時間はたった30分~1時間である。何日も密着して仕事ぶりを評価されることもなく、実際に仕事をしている姿を相手に見せるわけでもない。あなたはただ椅子に座って、自分の口から自分のことを話すだけである。
面接で入社後のパフォーマンスを予測できるか?

さまざまな研究で、面接で入社後のパフォーマンスを予測することは難しいと判明している。面接よりはSPIなどの適性検査の方が予測できると考えられているほどである。面接の評価とあなたの普段の仕事ぶりは関係がないということだ。逆に、仕事に自信がある人こそこの点に注意してほしい。「自分は有能だから大丈夫」と思い何の対策もせず面接に臨むと、失敗に終わる可能性がある。面接固有の対策をすることは、転職を考えるすべての人にとって必要なのである。
新卒採用と中途採用の評価基準の違い

新卒採用では能力よりも人柄が重視されている。だからこそ大学生は「責任感」や「継続力」、「主体性」「リーダーシップ」などの内面的要素をPRすることになる。したがって、スキルをアピールすることはむしろ推奨されていない。新卒採用で能力をPRしても、面接官からは「学生のくせに生意気だ」「それって別にたいしたスキルじゃないよね?」と逆に評価を下げてしまうことも懸念される。日本でも入社後の仕事が決まっているジョブ型の雇用が少しずつ導入され始めているが、大学生の採用では入社後に配属される部署が決まっているわけではなく、ジョブローテーションで次から次に仕事が変わるという企業もある。だからこそやはり「具体的なスキル」よりも「内面」が求められることになる。「何でも頑張って身に付けます」という姿勢の方が重視される。新卒採用の場合には新入社員研修などで教育が行われることが多い。会社の社風や文化、必要な能力はこの段階で叩き込まれることになる。
一方中途採用では、研修などの教育の時間がほとんどないケースが一般的だ。そして仕事の内容も決まっていることが多い。したがって転職面接で企業にPRするすべきは「募集されている職務に関する具体的スキル」となる。この点が新卒採用と中途採用で大きく異なるポイントだ。まずはこの点をしっかりと意識してほしい。新卒採用では評価された「責任感」などの抽象的な人柄に関する情報が、中途採用では採用の決め手にはならない。あなたが仕事をしていてつちかったスキルをPRしていくべきなのだ。

面接において、第一印象の与える影響度の大きさは科学的にもよく知られている。第一印象がその後の面接で大きく覆ることはあまりない。だからこそマナー面をおろそかにしないでほしい。ただ、マナー面に関しては新卒採用のときと大きく変わらない。名刺交換に関しては、ない場合が多く、名刺を渡されても受け取るだけで問題ない。相手から名刺を求められたときのみ渡せば良い。
面接のスケジュール調整が鍵!

1社のみ申し込みの場合、内定が出ると「受諾する、断る」という選択肢になる。内定を断った後に、さらに転職活動を続けてうまくいかなかったとき、「内定を断らなければよかった」と後悔することになる。重要なことは、複数社同時に申し込み、最終面接の日程を近くすることである。そうすれば、内定が出た会社を吟味したうえで最も条件の良い会社に行くことができる。複数社同時並行なら、あなたは内定を「受諾する、他の会社に行く、すべて断る」という選択をすることになる。自己PRや志望動機も確かに重要だが、それよりもっと大きな視点でのスケジュール調整が鍵となる。

転職面接で評価される4つの戦略

①自分のマイナス面を見せない
②自分の良い面だけをPRする
③前向きに答える
④面接官が求める回答をする
①自分のマイナス面を見せない
「マイナス面を見せない」ことであなたが「採用しても問題ない人」であることを伝えられる。これは面接において不要な減点を防ぐための対策である。よくありがちなのは、正直に自分の欠点を伝えてしまうことである。「人間関係を築くのが苦手」「遅刻が多いです」「勉強は得意ではありません」「仕事で大きな失敗をしました」などがそうである。「面接でそんなことを言うはずがない」とあなたは思うだろうか? ところが実際の面接現場では、上記のような発言に遭遇する頻度は非常に高い。
日本では謙遜が美徳だと考えられている。面接の場でなければそうだろう。ところが、その美徳を面接の場にも持ち込み、自分の欠点を自ら面接官に伝えてしまう人が相当数存在する。自分からは決して自分の弱点を口に出してはいけない。自分の短所や欠点、失敗に関する質問がきたら、マイナス評価とならないよう巧妙に切り抜ける必要がある。面接は自分をPRする場であり、自分の評価を下げる場ではないのだ。
ここまで筆者が述べても、まだ「ありのままの自分を企業に知ってもらいたい」と自分のネガティブ情報を面接官に伝えようとする人が多いことに驚く。面接では、「他人ではなく自分」が選ばれなければならない。何十人、場合によっては何百人いる候補者の中から、少ない採用枠を争うのだ。「減点なし」でやっと採用されるかどうかという舞台に立つことが可能だ。減点がある候補者がその少ない枠を勝ち取れるかというと、それほど甘くはない。面接はコンペのようなものだ。「他人ではなく自分を選んでもらう」必要がある。そのためのテクニックが、「自分のマイナス面を見せない」ということなのだ。
ただ、そもそもあなたが思っている自分のマイナス要素は本当に欠点なのだろうか? 他人から見ると欠点とは思えない、ということはよくある。これは悩みと同じだ。自分では大いに悩んでいることも、他人に話すと「そんなことを気にしている?」と言われることがる。筆者も自分に関してコンプレックスを抱えているところがあるが、知人に話すと「まったく気づきませんでした」とよく言われる。自分を客観視することは難しい。あなたは面接の場で、そんな不確定なマイナス面を面接官に伝えたほうがよいのだろうか? 自分の欠点は「自分から伝えるのではなく他人」に判断してもらえばいいのだ。
②自分の良い面だけをPRする
その一方で、心がけるべきは「自分のプラス面」を見せることだ。自分の良い点だけを伝える。ところが、次はこんな問題が生じる。それは、「私には良い点が少ない」「面接でPRできることがない」というものだ。さきほどのマイナス面と同様、たいしたことがないスキルだと自分を過小評価する人も多い。
しかし、「たいしたことがない」と評価するのは他人であるべきだ。自分の欠点も良い点も、面接官が判断することである、あなたは「自分が思う自分の良い点」を積極的にPRすればいいのだ。
③前向きに答える
そして、一歩進んで、前向きに答えるということも実践してほしい。否定的な言葉を使わないということだ。たとえば、「あなたはプログラミングができますか?」と面接官に聞かれたとしよう。するとプログラミング経験がない人や機械関係が苦手な人は、「できません。私は昔から機械音痴でプログラミングとは無縁です」のように答えてしまうかもしれない。
まず、これは面接のコツ①「自分のマイナス面を見せない」に反している。正直、私がどれだけ「マイナス面を見せるな」と言っても、もし「プログラミングができるか?」と聞かれた瞬間にこのコツを忘れる人が多いと実感している。答えるべきは、「プログラミングには非常に興味を持っています。私にはまだ経験がありませんが、ぜひ挑戦して身に付けたいと思っています」である。
上記2つの回答を見比べてほしい。どちらが魅力的に見えるだろうか。どちらの人材を採用したくなるだろうか。両者ともに「プログラミングはできない」と答えている。後者の回答をした人材の方が評価されるはずだ。ようするに言い方、答え方次第で印象はガラリと変わる。それでは何を心がけるかというと、「前向きに答える」ということだ。
「ウチの会社はハードな時期もあるのですが、体力はありますか?」という質問もそうである。「体力はありません。運動は苦手です」と答えるのと、「自分では体力はあるほうだと思っています。学生時代はバレー部に所属していて~」。嘘をつくことなく、後者の回答ができる人は多いはずだ。学生時代に一つ以上のスポーツを経験した人は相当数いるだろう。「自分の状況を前向きに答えた」だけである。そうすることで、あなたをより魅力的な人材に見せることが可能である。
④面接官が求める回答をする
さらに一歩進んで、「面接官の心理を読み、面接官が求める回答」ができれば申し分ない。「どう答えれば面接官に評価される回答になるだろうか?」という点から逆算して回答を考えるのだ。
面接では、自分を起点に考えるのが一般的だ。自分にはこんな能力があり、こんな欠点があり、こんな性格で~、から話を組み立てて面接に臨む。この流れを逆にして、面接官に評価される人物像を起点にするのだ。そして、その人物像に似せるように回答を行う。
ここまでを実践すれば、「あなたが理想の人材」だと面接官は判断するだろう。面接で評価されるためには、能力ではなくテクニックが重要だとご理解いただけるのではないだろうか。
しかし、「そんな卑怯なことはできない。ありのままの自分で面接に臨みたい」という声が多い。ただ、これは卑怯なことなのだろうか。「相手が求める回答をする」というのは、プレゼンテーションの基本ではないだろうか。他社と競ってのコンペを行うとき、考えるべきは「相手のニーズ」、相手が何を求めているかであるはずだ。面接の場もビジネスの現場である。むしろ、「相手が求める回答をする」ことこそ面接官が望んでいることではないだろうか。
まとめ
最後にここまでをまとめておこう。中途採用では、性格ではなく具体的スキルをPRしよう。そして、1社ずつ選考を受けるのではなく、最終面接の日程が近くになるようスケジュール調整を行おう。
面接では自分のマイナス要素を見せず、プラス面だけを伝える。何を聞かれても前向きに答え、面接官が求める回答をする。これを実践すれば、減点をなくし、常に加点され続ける状況を実現でき、「理想的な人材」と認識されるだろう。
